2014年9月19日金曜日

Wings / Wild Life

ポールの、ウイングスの音楽の変遷って、このアルバムを無視した方が解りやすいのよ。別途書くけど、Ramからストレートに繋がってるのはRed Rose Speedwayで、周辺シングル群を経てBand on the Runに繋がっていく流れの方が解りやすいのね。

 楽曲は勿論、この時期のポールらしいものが揃っているんだけど、サウンド的には前後の作品とは一線を画している。というのは、要するにこのアルバムは第一期ウイングスの顔合わせセッションのようなもので、二人のマッカートニーと二人のデニーでとりあえず音を出してみて、それをちゃっちゃとリリースしてしまおう、という、まあ要するに新バンドのお披露目、というよりもっとラフな景気付け的なニュアンスが強いアルバムなんだろうね。

 その感覚が強いのがA面で、Mumboはセッションから出来た感の強い曲だし、Bip Bopはポールのアコースティックな原型ヴァージョンもあるけどそれを下敷きにジャムってる感じ。Love is Strangeはカヴァーだし、Wild Lifeはれっきとした新曲とはいえワリと典型的なブルーズマナーに則った曲。どれも「これやってみようぜ!」でいきなり出来そうな曲で、ウイングス・ファースト・セッションという印象。面白いのは進むにつれて徐々にバンドがまとまっていく感じがするような構成になっているところだね。

 対してB面は「ポール・マッカートニー作品集・演奏:ウイングス」という趣。どの曲も楽曲として出来あがっていて、弾き語りでも成立するタイプの曲をウイングスとして纏めました、という感じ。Ram的、というよりもっとMcCartneyに近いような面も見えたりして、そういう意味でもこのアルバムの立ち位置が浮いてる感がある。

 で、何故かDear Friendだけストリングスが入ってて妙にゴージャスな音だな、と思ったらこの曲はRamのアウトテイクなのね。全体がラフなのに平気でこういうのをポンと混ぜちゃうのは実にポールらしい(良くも悪くも)んだけど。

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