2014年3月30日日曜日

Tim Deluxe / The Radicle

良さげな音楽の情報をTwitterから得るのはやめられない。

 コレは少し前、俺が音楽趣味的に(特にダンスミュージック方面で)信頼してるフォロワーの人たちが話題にしていて、否応なく気になった。特に、最近俺はワリとハウスがツボに入っていたというタイミングで、しかもジャズを取り入れたサウンドだというから興味が湧かないはずもない。そのツイートを見た翌日、早速タワーに行って買ってきた。彼ら3人が揃って気にいるくらいだから悪いはずがない。試聴する必要さえ感じなかったね。

 早速帰って聴く。いきなりジャズの4ビートとハウスの16ビートを組み合わせた「気持ち悪い」ビートが響く。まさに我が意を得たり。コレよ、コレ!コレをイメージしてたのよ。彼らを信じて大正解である。

 聴き進めると、だんだんある種の「疑問」が。コレはハウスなのか?勿論ダンスミュージックとして心地よくて最高なのは間違いないのだけど、俺の知ってるハウスミュージックとはだいぶ違う(ハウスっぽいのも入ってるけどさ)。なんというか、生の度合いも高いし、ってか曲によっては普通のR&Bじゃん、っていうね。R&Bっても、最近の「ディーバ」とやらが歌う安っぽいブラックポップスじゃないよ。ヴォーカル曲入ってるじゃん、あれなんかむしろ、ブリティッシュロックと70’sソウルの中間というか、いや、アシッドジャズ的な分野か?マザーアースとか。ああ、ハウスっぽいことやってた頃のJTQに寄ってる部分もあるかも。

 うん、要するに、シンプルに言えば「好き」ってコトだ。

 まあ、ジャケとサウンドから時々懐かしのベント・ファブリック思い出しちゃうのはやむを得ないよな!
 

2014年3月22日土曜日

Ultravox / Brilliant

 バンドが再結成して、アルバムを出したときに、そのアーティストらしいと感じるのはまあ良いコトなんだろうけど、それは所詮懐古である、って言う考え方も出来る。再結成とは言え、先へ進んでいると感じさせなきゃ駄目なんじゃないか?という考えもあるけど、客が求めるのは昔ながらの彼らのサウンド。昔ながらを求めるから再結成を求める。懐かしくない再結成に価値は感じて貰えない。

 ウルトラヴォックスは、ミッジ・ユーロ率いる最盛期のメンバーで09年に再結成、同年再結成ツアーのライヴアルバム、11年にもライヴEPを出した後、12年に全曲新曲のこのアルバムをリリースしている。

 アルバムを聴いたとき思ったのはやっぱり「ああ、俺の好きなウルトラヴォックスが帰ってきたよ」っていう安堵感。サウンドはRage of Edenの頃の雰囲気を今の技術で演ってる感じかな。2012年に出たとしてはあり得ないくらい80年代っぽい音なんじゃないかな。
 前記のようなことを書いている俺でさえこういうのを聴くと当たり前のように安堵している。そう、やっぱり俺達は再結成バンドに新しい姿なんか求めていないのだ。

 でも、そう言いつつもここでのウルトラヴォックスはやっぱり、当時のウルトラヴォックスとは全然違う。大きいのはやっぱり、ミッジの声。いや、決してあの伸びやかな声が失われたわけではない。ライヴアルバムでも衰えなさには感心したし、ここでも美声を堪能させてくれる。

 でも、枯れた。「円熟」と言うより「枯れた」という印象。伸びやかなまま、枯れた。美声が美声のまま枯れて深みを増して、元々持っていた何とも言えない哀愁が更に美しく伝わってくる声になっている。楽曲もそれを生かすかのように、スロー/バラード系の作品が多めになっていて、まあ古くからのファンにわかりやすく言えば「Visions in Blueがいっぱい入っているような」作品になっている。ViennaじゃなくてVisions in Blueなのがミソね。

 だからDancing with Tears in My EyesやReap the Wild Windみたいなキャッチーな作品群を期待すると結構肩すかしを食らう。勿論、俺もそうだった。オープニングのLiveなんかも結構ポップだが、それでも哀愁系の要素(I Remember (Death In The Afternoon)に近い感じの曲調だ)が強く入っている。他の曲も、リズミックな曲でもどこか「枯れた」要素に引きずられて強力にガツンと来るタイプにはなっていない。でも、その分「深み」があって、繰り返し聴くうちにどうしようもなく身体に浸み込んでくる。

 円熟ではなく深化。前進=時間を重ねること。枯れて朽ちるのも前進か。それを皮肉でも悪意でもなく、純粋にそのまま捉えたくなるのは、自分が朽ち始めているからかな?

2014年3月17日月曜日

808 State

 最初からそこまで重要な存在だったかというとそうでもなくて。

 そりゃあ勿論、あの時代、あの手の音楽を聴いていて808を避けて通るなんてことが可能な筈もなく、最初に聴いたのはなんだったかな。国内盤のPacific/Cubic/Olympicのミニアルバムみたいな奴だったような気がする。生のサックスや生のギターが入るテクノってのは俺には新鮮で、当時組んでいたバンドのオープニングSE用にサックス(打ち込みだけど)入りのトラックを作った程度には影響受けた。

 あんまりシングルは買わなかったんじゃないかな。Oopsはなんとなく買って、ビョークのヴォーカルが馴染めなくてそれほど気に入らず。で、多分EX-ELを買ったんだと思うな。すぐに気に入ったのがLiftで、シングルも買った。いまだに808では一番好きな曲。Pacificより好きなんだよね。まりんのソロアルバムとか、ジミー・コーティがいつだかやったTransit Kingsと並んで「空港系テクノ」って呼んでる。気持良い曲。 808の曲はいつも何とも言えない浮遊感があるんだよね。 Time Bombは好きなんだけど、アッパー過ぎてあんまり「808の曲として好き」って印象じゃなかった。当時の嗜好がずれ始めてたこともあって、Gorgeousは友達にあげちゃったんだよな。最近買いなおしたけど。で、それ以降しばらく聴いてなかった。

 2011年のソニックマニアはプライマル目当てで行ったんだけど、終了後少し他を観てからアンダーワールド、という気分の時、通りすがりのスペースで808がDJやっていた。「お、808だ」程度の気持ちでふらふら入って行って、この絶妙に空いたスペースで気分良く踊っていたらものすごい多幸感が訪れて。なんかね、道端で踊ってる気分なのね。スペースもたっぷりあるからてきとーに移動したり、ふらふら踊ったり激しめに踊ったり、瞬間ごとの自分のテンションに対してもひたすら自由で。周りが盛り上がってるから一緒に盛り上がる、じゃなくて各自が勝手に盛り上がったり、落ち着いたり。異常に気持ち良くて。で、そろそろアンダーワールド行こうかな、と思った瞬間にPacific回すもんだから動けないじゃん?しばらくしてまた今度こそアンダーワールド行こうかな、って思った瞬間に今度はYeke Yekeじゃん?動けないじゃん?もう諦めて、最後まで。アンダーワールドはどうにかラスト4曲ぐらい見ました。 この時から俺の中で808が再び重要になって、当時持ってなかったPre Buildとかも買いなおしたり、7インチ(12でなく!)何枚か買ったり、Tシャツ買ったり(笑)

 それで、2013年、ハシエンダに808が来る、今度はライヴ、って言ったら行かないわけねえじゃん?ホントは、大阪で808のDJ+ハッピー・マンデーズのライヴっていうのもやる予定で、遠征する気満々だったんだけど何故かマンデーズ来日が流れて中止。まあ、この時期仕事でハマっててどっちにしろ行けなかったから泣き笑いなんだけど……

 でもまあ、808は大磯で観れたわけですよ、がっつりライヴを。コレがまた、生バンドで笑った。ドラムにエレキベース、キーボードが二人にMC兼DJという編成で、肉体的だけどやっぱりあの808の音で見事にテクノ!っていう素敵なライヴ。 ライヴだしね、やっぱり「みんなで盛り上がる」感じになるのは仕方がない。時間も短いから基本的にアゲっぱなしだし。狂ったように踊ったね俺は。でもグレアム・マッセイがソプラノサックスを取り出した瞬間はうっすら目に涙が……ライヴで泣きそうになったのはフーの初来日に続いて2度目です。 幸福って意味では2年前のDJセットには適わなかったけど、興奮度では圧勝。圧倒的に素晴らしいライヴ、っていうか気持良いライヴだった。

 完全燃焼してこの後はいろいろてきとーに観流し踊り流しながらだらだら酔っぱらってそれはそれで気持ちよかったんだけど本稿とはすこしずれる

 ずれたついでに余談すると、この日俺はAltern8のTシャツ(90年代に持ってた奴のレプリカ)を着て行ったんだけど、たまたま駐車場のところで石野卓球とすれ違っておもむろに指差され「おっ!Altern8」と言われてしまったのは、少し自慢だ。

2014年3月10日月曜日

Beck / Morning Phase

多くのベック好きと違って、俺はどっちかっていうとOdelay派だからSea Changeはそこまで大好き、って言うアルバムじゃない。美しい作品だとは思うし、好きではあるんだけど、リリース当時は結構自分の中では埋もれた存在だったんじゃないかな。それなりには聴いたけど一生懸命ではなかった。

 ベックの新作はSea Changeを彷彿とさせる内容だ、という情報が入ってきて、ファンの多くはかなり期待したようだ。勿論、俺だってそれなりに期待したし、久々に発売直後に購入する彼のアルバムになった。「いくら彷彿とさせるにしても、このジャケはあまりにもSea Change Part 2的過ぎないか?」とは思ったけどね。

 俺が興味を持った大きな原因は、実はSea Change Part 2だからではなくて、俺が好きだったベック・バンドのメンバーが顔を揃えているからだ。ジョーイ・ワロンカー(Drs)は勿論、ジャスティン・メルダル・ジョンセン(B)とスモーキー・ホーメル(G)のクレジットが嬉しい。やっぱりこの3人+ベック、ってのが俺の中で基本なんだよ。加えて元ジェリーフィッシュのロジャー・マニングにジェイソン・フォークナー(=TV Eye、もすぐ消えちゃったね)ってコンビの参加とか、何故かスタンリー・クラークがいたりとか、とりあえずバンドに惹かれた。

 でも、音を聴くと「彼らならでは」云々ではなく、まあ、結局バンドはどうでもいい(笑)。

 やっぱりね、曲そのものがなんだか妙に良くて。なんてーかな、もの凄く素晴らしいアルバムなのかといえば微妙だし、どの曲が突出していいとか、または全てが大名曲とか、そういうのではなくて、なんだか聴いていて居心地が凄くいい。なんかよく解らないけど気がつくとリピートしていて、ずっとゆったり気持ちよくいられる。

 ほぼファーストインプレッションで書いてるからこの程度。アナログも注文したし、これから聴き込むとまた少し違うのかな?聴き込むのかな。なんか、ずっとゆったり気持ちいいまま、浸るだけで聴き込まずに行ってしまいそうな気もする。

2014年3月6日木曜日

アイドルを色々聴いてみた

 ももクロブログに書けば良さそうなことをあえてこっちで書く。

 ももクロに嵌って最初の頃は、「アイドルに興味があるんじゃなくてももクロファンになっただけだ」と公言していたし、それは嘘でも何でもなかった。周囲にも同じようなコトを言ってる奴らが沢山居て、でも彼らは徐々に他のアイドルにも惹かれていき、場合によってはそっちをメインにするようになった奴も居た。俺は彼らをあまり理解できなかったし、実際、他のを聴いても特にピンと来ることもなかった。とは言え、別に他を拒否していたわけもなく、機会があったら聴いてみるのも悪くない、という姿勢はあったたつもりだ。

 そういったわけで、色んな人から紹介して貰ったのを漠然とした興味を持って何組か聴いてみた。好きなのから嫌いなのまで思ったことを書き散らかす。(なお、ももクロ以前から聴いていたPerfumeは省く)

・東京女子流
 名前にはっきり「東京」とあるのに韓国のグループと誤認していたのは多分少女時代と混同していたんだと思う。音は普通のJ-Popだと思ったが、数曲80年代のブルーアイド・ソウルっぽい気配を感じる曲があってなんとなくじわじわ引っかかった。ひまわりがどうした、って曲が少し好き。
 俺が脚フェチなのを知ってる友人は「脚の綺麗さを前面に推し出して勧めれば良かった」と言うが、PVのフェティッシュな雰囲気(脚ではなく)はなんとなくツボを突く。俺が画像のような衣装を見て可愛いと思えるのは異例なんじゃないかな。ルックス的には整い過ぎかなぁ。

・私立恵比寿中学
 ももクロより圧倒的に普通の楽曲ながら明らかにクォリティの高い曲に驚く。それに気付くのに少し時間がかかったのは楽曲の出来にアルバム内でも差があるせいかもしれない。
 これに関しては面白い現象がある。最初は全体的にピンと来なかったのだけど、僅かに引っかかりがあった。それは多分映像を見ないで(アイドルとしてのキャラを知らずに)音だけを味わったせいだと思っていたのだけど、徐々に音だけで良くなっていった。それで「あ、曲がいいんだな」と気付いたんだけど。いまだに顔も名前もよく解らないけど、かなり好きな曲が幾つかある。結局ももクロ以外ではこの子達が一番気に入ったんじゃないかな。
 一番嵌ったのは(既に別途レビューしたけど)Another Dayって曲で、ポリシックスが手がけているだけのことはあってどう聴いてもゲイリー・ニューマンを引用している。
 ルックスは適度に地味でいい。あと、特にシングルのアートワークにメンバーの写真が使われないことがザラにある、ってのが凄い。アイドル、だよな?

・9nine
 どうしても名前を「きゅうないん」と読んでしまう。Twitterで誰かが「303使いのAcidアイドルソング」と紹介してた曲があって聴いてみたら爆笑したのが切っ掛け。コレも実際音しか味わっていないのだけど、女子流以上に普通なんだけどなんとなく嵌る。なんだろうな、慣れてきてるのかな。
 あと一時期少し話題になったけど、リフがOwner of a Lonely Heartのまるパクリの曲があって笑える。
 ルックス的には、絶妙に冴えないですねえ(笑)ああ、Perfumeのあーちゃんの妹が居るのってここかぁ。何となく納得(超失礼)。
 完全に余談だけど、彼女たちとももクロのリミックスを聴いた結果、tofubeatsが大嫌いになった。聴きづらくてたまらん。うるさい。

・チームしゃちほこ
 ようやく名前を覚えた。ずっとたこやき(後述)と混同して「しゃちほこレインボー」とか呼んでいたんだけど。たまたま誰かがPVをTwitterに流していたのを聴いたらなんか気が狂っている曲で、引っかかった。その後、イベントのLVで観たときのオープニング曲がこれまたAcid丸出しのハードコアテクノで大喜び。9nineより遙かにAdid臭くて、一人で大盛り上がりだったな。まだ音は所有してないけど、ちゃんと聴いてみたい。
 赤の子のどうしようもなく弱々しい声が妙にツボに入る。ルックスは、印象に残っていない。

・でんぱ組inc
 コレは苦手。ももクロがドラマで演じたTwinkle 5ってのが「俺がイメージするようなステロタイプなアイドル曲」みたいなのを演ってたんだけど、ソレをリアルにやってるのが彼女たち、って言う印象。アニソン方面の雰囲気が強すぎるのかなぁ。とにかくどの曲もテンポが速過ぎて同じに聞こえる。ちなみに、ビースティーズのSabotageをカヴァーしている(出来は良くない)。
 ルックスはもの凄く良いと思うし、俺が聴いた中ではアルバムのアートワークが圧倒的に良い。ジャケ買いする可能性があるのはでんぱとエビだけ。ジャケ買いしてがっかりしそうだけど。レンタルで済ませて良かった。

・ベビーメタル
 もともと評判が高い割には興味が持てなかった。これは単に上手いだけで、普通の女性ヴォーカルのジャパメタとしか感じず、そもそもメタルが好きじゃないので対象外。2曲くらいPV見たけど途中でやめちゃった。

・BiS
 コレも興味持ちそうで持てなかったんだけど、Quick Japanに載っていたマネージャーの発言で全部解った。今更マルコム・マクラレンとか言われても(笑)要するに過激風を演じたいだけで実際には過激でも何でもない。すっかり手垢にまみれた「過激」の縮小再生産だったのね。曲もありきたりなロック風味のポップスだし、佇まいにに品がないのも致命的だった。ヌードとか今更やったところで、何なの?って感じだし、見た目が何となく薄汚いのもまた。あえて控えめに言うけど、嫌い。

・たこやきレインボー
 しゃちと同じイベントで観た。「無理に大阪を演じている」感が強くて観ていて辛かった。嫌いではないが、可哀想。曲と容姿はももクロの二番煎じ。

 そしてこれだけ試しても一切興味が湧かないAKB系列の凄さ。

 以前と違って所謂「アイドルの曲」をすんなり聴けたのは、ももクロの曲でも苦手だったJ-Pop路線(オレンジノートとか)に比較的慣れてきたせいもあるのかも知れないし、ももクロに微妙な飽き(というより、音楽の過剰さに疲れ始めた)を感じたと共に代替品を求め始めたせいなのかも知れない。でもちょっと素っ頓狂なスターダスト所属のアイドル曲が聴きやすいのは、やっぱりももクロから入ったせいだろう。

 とはいえ、最近ももクロ含めてアイドルって分野自体に飽き始めてるのも事実だな。でもまあ、一回自分に入ってきたモノだからまたどこかで楽しくなるんだろうね。こういう広がり方は、嫌いじゃない。