
ただ、おそらくバンドはもっとメジャーに、ポップに、そしてアーティスティックな方向に進みたかったんではないか。ポップとアーティスティックは矛盾しないのだけど、ブルーズを追求すること=アーティスティックな姿勢、と思っていたギタリストはこれを良しとしない。かくして、バンドはエリックを切り捨ててでも「ポップでアーティスティックな」グレアム・グールドマンによる新曲For Your Loveの録音を敢行する。
ここから3枚、グールドマンの提供曲によるシングルを連発するのだけど、Heart Full of Soulからはエリックよりずっと柔軟で、ロック的なギタリスト、ジェフ・ベックを迎えることになる。それによってバンドはエリック時代に行っていたブルーズ/R&Bの模倣という領域から抜け出すことが出来たんじゃないかと思う。

ここまでのオリジナル曲全てにマッカーティとサミュエル=スミスの名がクレジットされてることも重要(アルバムの収録曲は全員の共作名義)。なんかこの時代、ベックが曲書いてるとか勘違いされてそうな気がするけど、実はこのあと、ペイジ加入に至ってもバンドの中心人物はレルフとマッカーティなんだよね。Shapes〜がレルフ/マッカーティ/サミュエル=スミスって名義なのは少し驚いたな。
さて、ヤードバーズを追い出された(という認識は誰にも無いだろうが)エリックはと言えば、ジョン・メイオールのバンドに加入、取り立て観るべきところのない凡庸なブルーズの模倣作品をリリース。しかし、自分が抜けたバンドがRoger the Engineerをリリースしたのを見て「これではマズいのではないか」とようやく気付いて、ポップでアースティックなロックバンド、クリームの結成に至るのだ。こう解釈しないとクリームのデビューシングルが「包装紙」ってコトの説明がつかないのよね。
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