2014年10月21日火曜日

Paul McCartney & Wings / Red Rose Speedway

 最初に買った時、豪華ブックレット(ヌード付き)に演奏メンバーの詳細なクレジットがあったのが嬉しかった(すでにそういう性格だったのね)んだけど、気になったのは2曲にデイヴィッド・スピノザとヒュー・マックラケンがクレジットされてたこと。当時すでに彼らがRamで参加してたセッションマンなのは知ってたんだけど、何故かこの2曲を当時のアウトテイクだと認識できず、何らかの理由で呼び寄せて参加させたって思いこんだのね。デニー・レインが参加してないんだから気づいてもよさそうなものなんだけど。

 勿論この2曲(Get on the Right ThingとLittle Lamb Dragonfly)はRamのアウトテイク。多分気づきづらかったのは、Ramが直前のアルバムじゃなかったからだと思う。Wild Lifeに収録しないでこっちに入れた理由が解らなかったのね。

 そういう意味で考えてもまだ謎があるのは、そもそもRed Rose Speedwayは2枚組になる構想さえあったにも関わらず、わざわざRamのアウトテイクを引っぱり出していること。2枚組ヴァージョンの曲目は解っているんだけど、その時点でこの2曲は含まれているから、Ramで捨てたのを勿体なく感じていただけなのかもしれないけど。

 まあ、どちらも確かに良い曲だ。俺がこのアルバムで最初に気に入ったのがGet on the Right Thingだし、ウチの妹はLittle Lamb Dragonflyをフェイヴァリットに挙げていたことがある。少なくとも我が家では大人気の2曲だった、と言って間違いない。要らないデータだけどな。

 アルバム全体の空気感もWild LifeよりRamに近くて、多分レコーディング方法も近かったんじゃないかな。前作はウイングスのお試し録音的な色彩の強い一発録り、今作は再び、ベーシックをラフに録ってそこにオーバーダビングを施す形式。ただ、今回はバンドの為、ポールのコントロールが行きわたりきれない部分もあったと思われ、Ramの時より幾分ラフな仕上げになる。

 あと、Ram Onの二つ目のヴァージョンでBig Barn Bedの予告がされてるのもRamとこのアルバムの連続性を感じさせちゃう一因だよね。予告しといてWild Lifeじゃなくてこっちに入れちゃう、っていうのが、変な人だよなぁ。もしかしたらポール、リンダ、サイウェルで録った原型ヴァージョンみたいなものがRamの時点であったのかもしれない。

 そもそも、ポールが「曲がいっぱいある」っていうときは楽曲のレベルを無視してものを言ってることが多くて、実際このアルバムの2枚組ヴァージョンで聴くと、感触がLost McCartney Album(McCartney IIのオリジナル)に近くなる。インスト曲や妙にラフな曲がいっぱい入ってるんだよね。その片鱗は完成版でもLoop (1st Indian on the Monn)や、ラストの小粒メドレー(いや、俺は大好きだけど)に現れている。

 そういう意味では、好き嫌いは別としてもMy Loveはまさしく「画竜点睛」だったと思うんだよね。完成度って意味で明らかに飛びぬけてて、アルバム全体がピリっとする。だからってLive and Let DieやHi Hi Hiまで入れないあたりのバランス感覚も素晴らしいな、とも思うんだけど。

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