2014年10月28日火曜日

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

 アメコミ、特にマーヴル・コミックスは好きなんだけど、マーヴル映画は一個も見たことが無かった。そんな俺がマーヴル映画初体験するのがXメンでもアヴェンジャーズでもなくて、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとは。

 チーム的にもキャラクター的にも予備知識はほとんどない。ヴィランイメージの強いドラックスが主人公側にいる?とは思ったけど、見た目が俺の知ってるドラックスとは違ったから同名の別人(マーヴルのキャラにはしばしば存在する)だろうと思っていた。ネビュラやサノス、ノヴァが出てくるのも知らなかった。むしろ興味をそそったのはサウンドトラック。スターロードことピーター・クィルの母の形見のカセットの収録曲が俺たちの琴線触れまくりの70〜80'sヒットなのだ。しかもメンバーがならず者ぞろい。ちょっと破天荒なノリが期待できる……と思って、仕事帰りにふらっと近所のIMAXシアターに出かけた。

 IMAXの巨大なスクリーンに対峙するのが俺と知らんおっさんの二人(三人と思ったらもう一人が出入りしてただけだったらしい)だけ、という客の入りには驚いたが、まあ周囲を気にせずノリノリで観れるというコトで良しとする。なんせ俺の意識ではコレは音楽映画なのだ。コトによっちゃあ踊る心づもりで来ている。

 オープニングからいきなりI'm Not In Loveだからもう、なんてベタなんだ!ってなったけどまあアメリカ映画だしな。舞台は1988年、曲はピーター少年(9歳)が聴いているウォークマンから流れているのだ。9歳でこの曲はシブくないか。意識して聴くと、捉えどころのない曲だよなぁ。


 ピーター少年は母と死別するやいなや何の説明も無く突如現れる謎の円盤に深い理由も無く連れ去られる超展開なんだけど、勿論この時点で形見のウォークマンと今わの際に受け取った包みは持ったまま。そのまま、やはり何の説明も無く26年の歳月が流れる。この辺のいくらでも説明できる流れを全部省略する粗雑さがアメリカン。この26年で地球のテクノロジーはテープの時代を終え、CD、MD、データへと移行している。恐らく宇宙のテクノロジーはもっと進んでいるはずなのだけど、26年後のピーターは26年間壊れなかったウォークマンと26年間ワカメにならなかったテープを聴き続けている。特別なものだからな。ソニータイマーが働かなかったのは奇跡としか言いようがあるまい。それともスペースソニーがサポートを続けているのだろうか。

 妄想休題。

 いや、ストーリーの解説しても仕方ないんだよ。シンプルな馬鹿映画だから。あらゆる映画と同じく、色々あってオーブを盗み出したり刑務所に入ったり特に計画も無く大暴れして脱獄したり色々あって仲間になったりオーブを売りに行ったりそれが大変なものだと解ったり仲間割れしたり絆を深めたりオーブが敵の手に渡ったり宇宙を守るヒーローになることに目覚めたり巨悪と闘ったり因縁の対決があったり絶体絶命に陥ったり仲間の犠牲で窮地を逃れたりオーブを取り戻したり辛くも勝利を収めたり英雄になったり軽口を叩きながらいずこへともなく旅立ったりするような普通のSFヒーローもののストーリーなんだよ。

 以上、完全なストーリー解説でした。以下、ポイントを挙げる。

 木が可愛い。可愛いし、圧倒的に役に立つし、異常なくらい強いし、万能だし、可愛いし、いい奴だし、可愛いし、可愛い。複数の人から「ちびグルートのフラワーロックを発売すべき」というアイデアを聞いたが、完璧すぎるアイデアだし、多分それスタッフも考えてた。または逆にフラワーロックから着想を得たか。商品はI Want You Backの音源付きで発売すべき。ちなみにこのシーンのグルートの顔の造形、明らかにジャクソン5時代のマイケルをモデルにしてるよね。

 「普通の」とは言っても主人公チーム全員が刑務所で知り合ったという基本的に犯罪者チーム。冤罪とかじゃないからね。明らかに犯罪でぶち込まれた奴らだから。やることは滅茶苦茶だし場当たり的だし力技だしまとまろうと言う気が全然無いし。ヒーローになる動機も正義の為というより要するに宇宙がヤバいコトになるとみんな死んじゃうじゃん、っていうシンプルなものだし。小悪党が巨悪の前で死にたくないから宇宙を守る、っていうのもまあ、極端ではあるのだけど。

 以前このブログで扱ったパシリム、シンプル・シモン、バルフィなんかにも共通する「ラヴシーンが薄い」要素がこの映画も。最初のガモーラへのキスは未遂に終わるし、終盤ではむしろピーターよりドラックスといい雰囲気にさえ見える。そもそも最初のキス(未遂)は愛情というより殆どナンパに近いノリだし、宇宙に投げ出されたガモーラを救うシーンでありそうなもののそれもなく。多分メンバー間に恋愛感情は無さそうなのが素敵。

 ヨンドゥが意外に美味しいし、いいキャラ。と思ったら役者が監督の親友らしいんだな。地上戦の異常な強さも開いた口がふさがらなかったし、ひたすら糞野郎の悪党を演じつつ最後偽のオーブ掴まされたのに気付いた時の笑顔!アレが良いんだ。「小僧、やってくれたな」的な。ホントに親代わりだったし、愛情を持って接していたんだろうなあ、と感じさせるシーン。

 コレクター(オーブを買い取ろうとする人物)が出て来たとき、なーんとなくパシリムのハンニバル・チャウっぽいな(似ているわけではない)、と思っていたらラストで爆笑する羽目に。やはり映画はエンドロールで席を立ってはいけない。

 ところでI Want You Back、ピーターのテープを模したサントラ「最強ミックスVol.1」(国内盤は出ていないがこの名で呼びたい)に収録されているけど、劇中設定だとVol.2の収録曲の筈だよね。本来のVol.1&2の全曲目を知りたい。Ain' No Mountain High Enoughも入ってるし、Vol.2は少し古めのR&B系の選曲だったのかな……と妄想するのも楽しい。ってか母ちゃん、あなたは死の床で一生懸命テープを編集していたのか。どんだけ音楽マニアなのだ。友達になりたい。

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