2015年2月8日日曜日

ファイア by ルブタン / 聖者たちの食卓

 なんか行きがかり上今年観た映画のレビューを殆ど書いてしまったので、あまり書くことが無かった作品についても書いてみる。


 恥ずかしながらルブタンの靴については全然知らず、以前画像を見て「DWのペダルみたいだ」とか言ってしまった程度の知識なんだけど、脚フェチの俺なので「ファイア by ルブタン」を観に行ってみた。  パリのクレイジーホース(ニール・ヤングは参加していない)という、高級ストリップクラブ的なところでフランシス・ルブタンの靴をテーマにしたショウを行い、それを映像化したもの。合間にルブタンのインタビューが挟まる以外は全編がヌードダンサーによるショウだ。 

 まあ、正直に言えばエロいものを期待してはいましたよ。ポスターにも写る尻から脚の美しさは期待を抱かせるに充分だし、アート性が高いのは解ってはいても、やっぱストリップじゃん。基本ヌードなワケだから、むしろエロいのを期待しない方が失礼じゃん?

  ところがね、コレ、カッコつけで言ってるように見えるのは覚悟で書くけどさ、コレが全然エロくないのですよ。えっとねえ、エロティックではあるけどエロくない、ってニュアンスで通じるでしょうか。うん、こう言ってしまうと陳腐過ぎるけど、圧倒的にアーティスティックだったしね、まず動きとか完成度が高すぎて、劣情が入り込む隙が無いのもホントだし、それ以上にダンサーたちの美しさがね。動き以上に、身体の完成度が高すぎて。綺麗すぎて。例えば美術館でヌードの絵画や写真見ても興奮しないじゃん?(する人もいるとは思うけど)もう完全にその世界に入っちゃってるのね。「エロティックではある」と書いたのも本当で、決して健康的な美ではなくて妖艶さは充分にあった。セクシャルな動作だって当然織り込まれていて、だけどそこに欲情出来る種類のもではなかった。 

 それにしてもダンサーたちの並んだ時の揃いっぷり。動きが揃ってるのはもう当然で、背格好、プロポーションがほぼ同じってのが凄い。綺麗でエロティックな女性ならクレイジーホースに入れるわけじゃないんだよ。身長は169cmで、見た感じおっぱいの大きさには差はあったようだけどなんかバストトップの位置には規定があるとのことで、ってコトは当然だろうけどプロポーションは絶対維持、ってコトだろうし。すげえなー、と、男の身ではコレしか言いようがねえよな。  

 一緒に扱うと怒られそうな組み合わせだけど。


 インドの寺院の巨大無料食堂を映した「聖者たちの食卓」は最近観た。

 特にナレーションも無く、起こっていることを淡々と撮る、というスタイルは「ローマ環状線」や「リヴァイアサン」とも共通しているけど、あまりストイックな映像ではないし、また、被写体が平気でカメラを意識する、って言うのが大きな違い。コレ、思った以上に印象に影響を与える。インド人たち、やたらにカメラを覗き込むんだけど、それがなんか映画そのものに人懐っこい雰囲気を与えているのね。だから、挙げた二本に比べて無機的だったり、冷ややかだったりする印象は無い。

 まあ、映画そのものはあまり引っ掛かりも無く(というか引っ掛かりようも無い)、色々と「へぇ—」とか「すげーなー」と思うシーンこそ多々あるがだからどうということもなく、感情にも感覚にも特に訴えず、でもまあそれなりに居心地はいい、という感じ。60分チョイなので、退屈もしないしなんとなく時間がある時ぼんやり眺めるには良い感じ。

 個人的ポイントは音楽。っても、環境音が殆どで、時折殆ど気にならないレベルで音楽が入ってくる。音楽、と言うか、まあ勿論音楽なんだけど、これが全編タブラのソロなのね。で、気にならないと書いたのもワケがあって、環境音的な演奏をしている、と言うか、コレねえ、多分フィルムを観ながら監督の指示で必要な場所で即興演奏をしたんだと思うんだよね。で、演奏が見事に映像に溶け込んでるの。明らかに動作に合わせて演奏してる箇所も多々ある。ナンをひっくり返すタイミングでタブラが「ティン!」って鳴ったりとかね。ソレ観てるだけでも楽しかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿