2014年1月2日木曜日

Paul McCartney / Out There Japan Tour 2013

ポールは1990年に観ている。あの時のツアーバンド、ランピー・トラウザーズは大好きだし、あのツアーも大好きだからポールに関してはもう満足だと思っていた。だから今回のツアーは基本的には行かないつもりでいた(93年も、02年も同じ理由で行かなかった)。

 でもやっぱり20年以上見ていないということもあるし、今のバンドもDVD等で観てかなりこなれてきた感じはしていたし、やっぱり「見おさめの可能性」を感じてしまっているからかなり迷っては、いた。冗談めかして「仕事が暇になりそうだから旅行がてらに大阪公演行こうかな」とも言っていたのだが。

 まさか本当にそうなるとは。

 ツイッターで交流のある方が「大阪公演二日目が1枚余っている」と言ってくれた。俺はこういうのは縁だと思っているし、10月にももクロ岡山公演に行った勢いもあり「ももクロで遠征してポール行かないのはおかしいだろ!」とばかりにチケット譲渡をお願いした、という次第。かくして、俺は23年ぶりにポール・マッカートニーと出会うことになる。

なんばで合流して云々、は飛ばして話は京セラドームへ直行する。同行の方は勿論非常にライヴ慣れしている人。そんな人が何故か開場時間に間に合うように行きたがるのを不思議に感じていたのだけど、その謎はすぐに解けた。開場から開演までの間、ステージにはDJが登場してポールやビートルズの曲、カヴァー曲を交えたミックスを流していて、コレがなかなか良いのだ。スクリーンに流れる映像も込みで、これ自体それなりのショウとして成立している。俺も軽く踊りながらハイボール呑んで。「大人の」ライヴはももクロと違って呑めるのがいいね。

 開演後のことを細かく書いても仕方がないかな。とにかく圧倒的に凄かった。何を見てるんだろう俺は、という感触があったな。71歳のお爺ちゃんの、50年前の曲を中心にしたノスタルジックなショウ、という印象が一切無かったことだけは間違いない。明らかにこれは71歳の現役ロックンローラーの、最新のツアーだった。

 結局、76年のツアーを「ロックショウ」という映画にした時の感覚からこの人は全く変わっていないのだ。Out Thereツアーは明らかに2013年のロックショウだった。「衰えてない」なんて言えない。でも老いも何もかも全て呑みこんだ現在のポール・マッカートニーのロックショウ。71歳のポールを生で観る、というのはこういうことだったんだなぁ、と思ったのが一つ。

 もう一つは、この人は圧倒的に俺の原点なのだ、ということ。この人がいなければ現在の俺は存在しなかった。そう思えるアーティストはいくつかいるけど、ポールという人は別格だ。「ビートルズは」という意味でもあるのだけど、ある意味、ジョージやレノン、リンゴ以上にそういう存在かもしれない。

 2013年という年は俺にとって、プライベートでもとても重要な年になってしまったのだけど、そういう年の最後に音楽的に原点に帰れたのもすごく重要だったのだなあ、という感慨はすごく大きかった。

 最後にライヴの細かい雑感を。

・Listen to What the Man Saidは今回ピアノ抜きのアレンジ。思ったより違和感無かったのが不思議。ポールはベース、ウィックスはキーボードでサックスのパートをプレイしていたのだけど、音程は鍵盤で、ニュアンスを鍵盤ハーモニカみたいなチューブ式のウインドコントローラーでつけていたのが面白かった。

・Paperback Writerの最新アレンジが格好いい!ギターソロとフェイクしたヴォーカルが加わって、テンペストのヴァージョンみたいになっていた。オリー・ハルソールがビートルズやる時は必ず最高だよね。

・My Valentineはアルバムよりはるかに良かった。やっぱりポールの曲はロックで、ロックバンドでやった時が一番映える。

・新曲は全部よかったけど、やっぱりQueenee's Eyeは最高。Everybody Out Thereも盛り上がったな。ツアータイトルはこの曲から?

・Sgt. Pepperからの選曲が多かったのはなにかあるのかな?Mr. KiteとかLovery Ritaが思ったよりライヴ映えしたのは意外。

・ウイングスの曲もそこそこ多くて、しかもビートルズの曲もロックショウでやってた曲と共通するのが多かったせいであまり「ビートルズ曲を大量に演奏」というイメージは無かった。ツイッターでも書いたけど、バンドの「再現と外しのバランス」が素晴らしかったせいもあると思う。ビートルズのコピーバンドをやる気は一切ないわけ。それは前半で書いた「現役感覚」にも繋がってくるんだけど。このバンドが今のポールの音なワケ。だって、ポールが過去に組んでた中でも一番長期間やってるメンバーだよ。信頼感もすごいんだと思う。

・ロックショウと言えば、ライヴの感想からは外れるけどツアーグッズにウイングスのロゴTシャツがあったのには感激。勿論迷わず購入。

・細かいことを色々言っても、Live and Let Dieの大爆発で全部どうでもよくなってしまう。

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