2014年6月15日日曜日

Status Quo / Piledriver


 人間そう簡単に変わるものではないし、ましてや複数の人間の集団が同時に変化するなんてありえない。バンドの方針は「ポップバンドを抜け出してハードにロックするんだ」というものでも、その意識のシフトには各自違うペースとフェイズがあるのだろうし。バンドは人間だし、生き物だからじわじわと変わっていく。そういう意味で過渡期じゃないアルバムなんてのもまず無いのかもしれないな、とこのアルバムについて想う。

 Pye時代最後の2枚を過渡期と位置付けたけど、そういう目線で捉えなおすとPiledriverで方向性が定まったか、と言うとやはり「それもまた、違う」と言わざるを得ないのだ。ぱっと聴き、後年の定番曲やヒット曲が良い位置で収まってるからがっつりハマったアルバムに見えるけど、それ以外の曲がまた新しい振り幅を模索しているようにも見えるところがこのアルバムのミソではないか、という気がする。

 Don't Waste My Time、Big Fat Mama、Paper Plane、Roadhouse Bluesの4曲に関しては何も言うことは無いだろう。ライヴでも定番となるこの4曲がアルバムの半分を占めているから、流れで聴いても非常に安定感はある。O Babyもマイナーな存在ながらこの流れに位置付けて差し支えない。だから、焦点はかなり定まってきている、というのは事実。

 このなかではShy Flyで指し示された「アップテンポの8ビートナンバー」という路線がPaper Plane、Big Fat Mamaの2曲で、しかも前者ではよりポップな、後者ではよりハードな、という両方向への進化形として表れてきているのが特筆したい部分。また、Don't Waste My Timeでのアイリッシュジグ風のリフ導入は後年にも繰り返され、「国民的バンド」への道筋を示したものとして重要。

 問題はこのアルバムの「ブレ」の部分だ。残り3曲がスローナンバーというのはあまりQuoのアルバムでも類を見ない。バラード的な曲がアルバムのアクセントとして1曲くらい入ることは勿論あるのだけど、3曲も入るのは珍しい。しかも作者を見るとコグラン以外のメンバー3人+重要共作者であるボブ・ヤングとバーニー・フロストが全員関わっている。一丸となってこれをやっていたのか、と思うと面白い。

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